2013年3月6日水曜日

日本経済新聞に紹介されたぞ!

マツダOBの小林健一社長(39)が手掛ける異色のベンチャー企業、フィールイメージ(広島市)。マツダの生産現場で培った経験を生かし、デジタル映像を使った分かりやすい生産現場マニュアルの作成を手掛けてきたが、中小企業の教育担当として生産現場を支援する事業を本格化している。肝となるのは、ルールを作り中間管理職の意識を改革することだ。造船の町として知られる広島県呉市。小林社長が〞教育担当″として通うのが金属曲げ加工を手掛けるハマグペンディングサービスだ。プレス、ロール、ベンダーと呼ばれる加工部門にそれぞれ分かれた工場には小林社長が用意したファイルが置かれている。数十ページに及ぶファイルにはハマダの年間計画、社員の項目別評価、社員に対するアンケートなどがある。「アンケートどう?」「ほかの部門もやってみたいと言う社員が結構いるんですよ」。小林社長が気さくに声をかけるとプレス部門の藤川義治係長(37)がファイルを開きながら答えた。小林社長がハマダの教育担当になったのは約半年前。約30人の社員の大半を占める職人一人一人の責任が不明確だと感じ、まず取り組んだのは「ルールを決めて責任と権限を与える」(小林社長)ことだった。中間管理職の係長が職人を統括し生産の流れや評価、職人の希望を聞き取りファイルに書き込むことにした。係長とはいえ「何をすればいいか分からなかったが自覚が芽生えた」(藤川係長)。4年前に社長を引き継いだハマグの浜田篤社長(33)が期待するのは「職人を多機能な仕事ができるようにすることと技術を残すこと」だ。1つの部門に長年属することが多い職人の世界。技能が磨かれる一方で、職人は自分の部門の仕事が終わると他の部門が忙しくても帰ってしまうことが多かった。競争が激しくなる中、企業の生産性を上げるには「異なる部門の技能を身につけてもらう」(浜田社長)ことが不可欠。技能の伝承も苦と違い熟練者の技を見て自主的に学ぶ若手は少ない。声を掛け合い若手に伝えを」とが必要で、部門内や部門間の橋渡しとなる人材の育成が求められる。これまでは社長が職人と一対一で接してきたが「社長、係長、職人Le潤滑油になる」(小林社長)。ルール作りや組織改革を約1年かけて構築したい考えだ。日本は中小企業が9割を占めるが、技術力が高くても技術の伝承や組織運営が十分ではないケースが多い。小林社長のような大企業のOBが、国内のものづくりを守っていく環境が広がることが期待される。
2013年3月6日 日本経済新聞