2013年6月5日水曜日

お酒を語らずしてものづくりを語れず

お酒を語らずして「ものづくり」を語れず

ものづくり人財マネジメント勉強会での懇親会にて
広島の友鉄工業株式会社 友廣和典会長が私に言った言葉です。

お酒の造り方は代々伝わってきており ものづくりに携わっている人間ならば
「伝える」と言う使命を 蔵元に行けばきっと なにか感じるはず。

そう教えてもらいました。

時は、2007年 広島駅前の「かき傳」と言うお店の店主と仲良くさせてもらっていた時の事です。
私は、それまで日本酒は、どちらかと言うと好きではありませんでした。
そもそも ビールなどのお酒も苦手な方でして… 350㏄で満足と言うタイプです。
そんな私に店主が日本酒「華鳩」を薦めてくれました。
店主のオゴリだったので、まぁ いいか と 口に含んだところ
スゴイ さわやかでフルーティーな感覚が口の中ではじけました。

正直、ビックリしました。

日本酒って めちゃくちゃ おいしいやん!! と…

今まで、安い日本酒しか飲んだことが無かったので
それが日本酒だと思っていました。

自分の日本酒に対する概念が覆った瞬間でした。

それからと言うもの 『華鳩』の大ファンにになったのですが、
これがまた、なかなか市販されていないのです。

もう一度華鳩を飲みたい と友廣会長にお話ししたところ
わざわざ 販売店のリストを送っていただきました。
が、やっぱり 蔵元に行くことをお勧めしていただき

この度、初めて蔵元へ日本酒を買いに行くことにしました。

華鳩は広島県呉市音戸町にあります。
呉市といっても 橋を渡って 島に入ってすぐにあります。
あ、前からあるグルグルの橋のほうです。

島に入ってすぐ右折 3分ほど走行したら
右手の奥のほうに ハナハト と書かれた煙突が見えてきます。
ですが、このあたり、道が入り組んでいるため なかなか煙突付近まで近づくことができません
なので、煙突が見えた交差点 すぐ近くに ハナハト駐車場 と書かれた所がありますので
そこに車を止めます。
僕の場合、例によってバイクで来ているので、そこにバイクを止めさせてもらいました。
駐車場から目指す煙突までは、まだ距離があります。
そこまでは、私道じゃないか というくらい細い 駐車場隣の幅1m位のわき道をひたすら煙突めがけて進みます。

突き当りに、中に煙突があろう酒蔵の門と お店がありました。
さっそく お店の中に入ります。
いらっしゃぁい と元気のいい女性が出てくる。
友廣会長の紹介ということと 私がファンであること そして、ちょうど父の日の前ということもあって
贈り物として購入することを伝えたところ
ちょうど、華鳩の社長さんが出てこられ、よかったら 蔵を見学していってください と言われ
その言葉に甘えることにしました。

蔵元を見学するのは初めてでして、すべてが新鮮で興奮の連続。
代々伝わる 伝承 それが、空気で感じることができました。

まず、華鳩の由来ですが、もともとは、清盛 というブランドで販売をされていたそうです。
ですが、なかなかイメージが浸透しない…
この時僕は 大河ドラマ「平清盛」の行く末を思い出した。

で、もう一つのブランド 「華鳩」(ハナバト)というブランドを立ち上げた。
当時の正式名称には、ハナバト そう 濁点がつくのだ。


そのうち、ブランドが浸透し始め お客様は「ハナハト」と濁点が無い呼び名で親しまれ
今では、ハナハトで商標登録をされているという。

華は 昔の教科書で見開きに書かれていた○、○、○ と書かれている その華を入れた
そして、鳩は、元もの 土地の名前が「鳩岡」ということで、その土地の名前を入れ込んだとのこと



まず、最初の工程だが、
米を蒸すところから始まる。
巨大な「せいろ」で米を蒸すのだが
ここでも色々な発見があった。
日本酒の蔵元には、必ずと言っていいほど煙突がある
僕もその煙突(シンボル)を目指して来たわけだが
何故、日本酒造りに煙突が必要なのか疑問に思っていたのだ。
社長の話を聞いて 納得。
昔は、薪で火を焚いてその熱でお米を蒸していたそうな。
その火を焚く煙を煙突から排出している。

ただ、現在は バーナーやボイラーで蒸す蔵元が多くなり
煙突は「シンボル」でしかなくなった 
逆に言うと、煙突のある蔵元は昔から日本酒を造る老舗ということになる。

お米
お米も一般に流通しているお米とは違う
一般より大きい粒で その中から研いでおいしいところのみを使用するとのこと
実際に食べてみてどうか社長に尋ねたところ
皆は、やはり流通しているお米のほうがおいしい というが 自分は十分おいしく食べれる範囲だと言っていた。

この蒸し工程 やはり非常に難しいところがあり
一般では、麹工程や発酵工程の温度管理が注目されがちだが、
社長は、この1番初工程 蒸し工程が一番重要じゃないかと言う
何故重要か
お米は、最初洗う工程で 水を思いっきり吸うのだ。
良い日本酒にするために 投入する水の温度を下げで水を含む量を調節したり
お米の研ぎ具合を調整したり と気の遠くなる作業があるという。

研いだお米に冷たい水を投入し、お米が温度差に耐えれず割れたりすることもある


次が麹造りだ
蔵の2階部にその室があった 麹室
ここでも発見! 最近は「室」の漢字を「しつ」と読むが 日本酒造りの工程では
「むろ」と呼ぶ こうじむろ
見るからに神聖な場所だ
入り口には「封印」と貼り紙がある。
酵母菌を育てるため、菌や鉄分は厳禁だという
部屋の中も温度管理が徹底されていて
屋根、壁はモミ殻を使用し断熱効果を高めている さらに1つある小さな窓は、4重窓を使用
この中で、麹が育てられる。
この期間、24時間体制で監視体制がひかれるため、
関係する人たちは、この麹室の隣にある部屋で寝泊まりする。





次は、酒母と言ってアルコールを発生させ 次にもろみと言ってタンクで日本酒に育てる工程
水は、蔵内にある井戸(硬水)と近くの山で湧く軟水をバランスよく使う
一つの蔵で硬水と軟水の同時に使える蔵は少ないという
さらに軟水は、扱いが非常に難しく しかし使い方によってとてもおいしい日本酒が出来る
上級酒には軟水の割合を多くしているとの事だ。

真ん中のツルに覆われている建屋が井戸

先ほども少しふれたが、日本酒製作工程で鉄は厳禁
なので、鉄製のタンクでも必ず内側にガラスコーティングを施している。
さらに、日本酒は温度が低い方が日本酒造りに適しているという
なので、貯蔵タンクを冷やす工夫がされている。
タンクの外側にホースをまいて冷水を循環させる。それで間に合わない場合は
もろみの中に冷水循環器を突っ込み中を冷やすのだ。


こうやってできた もろみは
ろ過機にかけて日本酒が出来上がる


品評会に出品するような日本酒は、手作業で行う。


この一連の作業
いつでも見られるわけではない 寒い冬の間に日本酒は造られる。

今回の「日本酒ものづくり」で感じたことは、
この古くから伝わる日本の伝統。 確かに伝統が引き継がれることなく畳まざるえない蔵元も存在する
が、ここの華鳩は、杜氏がこの味、伝統を引き継いでいくために、マニュアルを準備していっているという。
しかし、難しい。 冬になれば、すべての工程を一気に責任を負い、自ら支持を出し確認をしなければならない
同時に「残す」という事がなかなか難しいなか 取り組まざるを得ない と社長はいう
昔は、日本酒づくりは冬なので、稲作を終えた農家などからの手伝いでお酒を造っていたが
最近は、本当に日本酒が好きな人 たとえばバーテンダーとか そういう人が日本酒造りを手伝ってくれることが多くなった
中には、そのまま杜氏になったり 酒蔵を立ち上げたりと する人もいる

海外でも日本酒が注目を集め出し、今からも決して失ってはならない日本の財産だと思います。
日本の財産を伝えていくこと 
そして、僕が日本酒の本当の素晴らしさを間接的に知ったように
飲食店業界の店主は、お勧めの日本酒をどんどん薦めていくことで
おいしい日本酒に気軽に触れられる そういう環境が必要だと感じました。

最近は、若い人から直接 蔵元に購入しに来られるという多くなったそうです。

チャンスがあれば、酒造り工程も見学できるかもしれません
利き酒もできるかもしれません。
色々なことを知ると また いっそうお酒がおいしく感じると思います。

今度は、嫁の運転で酒蔵を訪ねてみようと思います。
なぜなら 今回、利き酒を薦められたのにバイクだから飲めなかったことが 非常に残念だったんですよ…

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